はじめに:攻めの戦略と同じくらい「守りの知識」が重要な理由
こんにちは、柊真之介です。
Brainでのコンテンツ販売に取り組む多くの方は、どうすれば売れるか、どうすれば稼げるかという「攻めの戦略」に多くの時間と情熱を注いでいることと思います。
それは素晴らしいことですし、ビジネスを成長させる上で不可欠な要素です。
しかし、その一方で、見落とされがちなのが「守りの知識」、すなわち法務と税務の領域です。
「なんだか難しそう」「自分にはまだ関係ない」と感じるかもしれません。
ですが、この守りを疎かにすると、せっかく築き上げた収益や信頼を、一瞬にして失ってしまうリスクさえあるのです。
この記事では、そんな複雑でとっつきにくい法務と税務の基本を、コンテンツ販売を行う初心者の方にも分かりやすく、具体的なステップで解説していきます。
この知識は、あなたの活動を縛るものではありません。
むしろ、あなたを不要なトラブルから守り、長期的に安心して活動するための「最強のお守り」となるはずです。
【免責事項】
この記事は、コンテンツ販売に関する一般的な情報提供を目的としており、法的な助言や税務上の助言を提供するものではありません。
私の経験に基づき解説しますが、法律や税制は非常に複雑であり、個々の状況によって対応が異なります。
具体的な問題に直面した際は、必ず弁護士や税理士といった専門家にご相談ください。
第一部:信頼を築き、守るための法務の基礎知識
まず始めに、お客様との信頼関係を根底から支える「法務」についてです。
法律と聞くと堅苦しいイメージがありますが、その本質は「公正な取引」と「消費者の保護」にあります。
ここで解説するルールを守ることは、法律違反を避けるためだけでなく、あなたのビジネスの信頼性を高めることにも直結します。
お客様に「この人から買ってよかった」と心から思ってもらうための、最初のステップです。
特定商取引法(特商法)に基づく表記 – あなたは誰ですか?
オンラインで商品を販売する上で、避けては通れないのが「特定商取引法に基づく表記」です。
これは、あなたの身元を明らかにし、お客様が安心して取引できるようにするための、非常に重要な法律上の義務です。
なぜ特商法表記が必要なのか?
顔が見えないインターネットでの取引では、購入者は「本当にこの販売者を信用していいのだろうか」という不安を常に抱えています。
特商法表記は、事業者の氏名(名称)、住所、連絡先などを明記することで、その不安を和らげる役割を果たします。
万が一トラブルがあった際の連絡先が明確であることは、消費者にとってのセーフティネットです。
この表記をきちんと行うことは、誠実な事業者であることの証明であり、お客様からの信頼を得るための土台となります。
表記がない、あるいは不備がある場合、法律違反となるだけでなく、お客様からの信頼を大きく損なう原因となります。
Brainにおける特商法表記の設定
Brainでは、プラットフォームの機能として特商法表記を簡単に設定できるようになっています。
通常、設定画面から「特定商取引法に基づく表記」の項目に進み、必要な情報を入力します。
主に「販売事業者名(氏名)」「所在地の住所」「連絡先の電話番号やメールアドレス」「販売価格」「代金の支払い方法と時期」「商品の引渡し時期」などが必須項目となります。
これらの情報を正確に、そして正直に記載することが求められます。
一度設定すれば、あなたが販売する全てのコンテンツページに自動で表示されるため、必ず最初に行っておきましょう。
個人情報の公開に抵抗がある場合の対処法
副業で活動している方にとって、自宅の住所や個人の電話番号を公開することには、大きな抵抗があるかもしれません。
その気持ちは非常によく分かります。
こうしたケースでは、いくつかの代替策が考えられます。
一つは「バーチャルオフィス」の利用です。
月額数千円程度で事業用の住所と電話番号をレンタルできるサービスで、多くの個人事業主が活用しています。
また、プラットフォームによっては、販売者の個人情報を非公開にし、プラットフォーム運営者が代行して表示するオプションを提供している場合があります。
ただし、この場合でも、消費者から開示請求があった際には情報を提供する必要があることを覚えておきましょう。
著作権侵害 – 無意識の「泥棒」になっていませんか?
コンテンツを作成する上で、絶対に侵害してはならないのが他人の「著作権」です。
悪意なく、知識がないばかりに、他人の権利を侵害してしまうケースは後を絶ちません。
一度でも著作権侵害が発覚すれば、法的な問題に発展するだけでなく、あなたのクリエイターとしての信頼は地に落ちてしまいます。
著作権とは何か?
著作権とは、文章、イラスト、写真、音楽、動画などの「著作物」を創作した人(著作者)に与えられる権利のことです。
この権利は、作品が創作された時点で自動的に発生し、登録などは必要ありません。
他人が創作した著作物を、許可なくコピーしたり、インターネットで公開したり、自分のコンテンツの一部として利用したりすることは、原則として著作権の侵害にあたります。
「みんなやっているから」という安易な考えは通用しません。
あなたのコンテンツの全ての要素が、クリーンであることを常に意識する必要があります。
絶対にやってはいけない具体例
コンテンツ作成時に、特に注意すべき著作権侵害の例をいくつか挙げます。
・他人のブログ記事やnote、Brainの文章を、そのままコピー&ペーストして自分の文章として公開する。
・Google画像検索で見つけた写真やイラストを、許可なく自分のコンテンツのサムネイルや本文中に使用する。
・好きなアニメや漫画のキャラクターの画像を、無断でプロフィール画像や資料に使う。
・市販の書籍の内容を、要約の域を超えて丸写しに近い形で紹介する。
これらは全て、著作権侵害となる可能性が非常に高い行為です。
安全に画像や情報を取り扱う方法
では、どうすれば安全にコンテンツを作成できるのでしょうか。
まず、画像やイラストに関しては、著作権フリー(あるいは商用利用可)の素材サイトを利用するのが基本です。
「Unsplash」や「Pexels」などの海外サイト、「いらすとや」や「PAKUTASO」などの国内サイトは、利用規約の範囲内であれば安心して使えます。
また、他人の文章やデータを参考にしたい場合は、「引用」のルールを正しく守る必要があります。
引用部分を明確に区別し(鍵括弧や引用タグを使うなど)、出典を明記することが必須です。
自分の意見が「主」、引用が「従」である関係性も重要です。
最も安全なのは、文章も画像も全て自分で創作することです。
景品表示法(景表法) – 「誇大広告」の罠
自分のコンテンツを魅力的に見せたいという気持ちは誰にでもあります。
しかし、そのアピールが行き過ぎてしまうと「景品表示法」に抵触する可能性があります。
これは、消費者が不利益を被らないよう、嘘や大げさな広告表現を規制する法律です。
「必ず儲かる」は絶対NG
景表法で特に問題となるのが「優良誤認表示」と「有利誤認表示」です。
前者は、商品の内容が実際よりも著しく優れていると誤解させる表現のこと。
後者は、価格などの取引条件が実際よりも著しく有利であると誤解させる表現を指します。
例えば、「このBrainを読めば、誰でも絶対に月100万円稼げます!」といった表現は、効果を保証するものであり、典型的な優良誤認表示にあたる可能性が高いです。
購入者はその言葉を信じて購入するわけですから、万が一結果が出なかった場合、大きなトラブルに発展しかねません。
OKな表現とNGな表現の境界線
では、どのような表現なら許されるのでしょうか。
重要なのは、事実に基づき、誤解を招かない表現を心がけることです。
NG例:「知識ゼロから1ヶ月で月収7桁を達成する方法」
OK例:「私が知識ゼロから1ヶ月で月収7桁を達成した思考と行動の全記録」
後者は、あくまで「私個人の実績」を述べたものであり、読者にも同じ結果を保証するものではないことが分かります。
さらに、「※本コンテンツは成果を保証するものではありません。効果には個人差があります。」といった注意書き(打ち消し表示)を、分かりやすい場所に明記することも、リスクを低減させる上で非常に重要です。
第二部:稼いだ後で泣かないための税務の基礎知識
おめでとうございます。
あなたのコンテンツが売れ、収益が発生しました。
しかし、ここで終わりではありません。
稼いだお金には、然るべき「税金」が関わってきます。
「知らなかった」では済まされないのが税金の世界です。
ここでは、稼いだ後で慌てないために、最低限知っておくべき税務の知識、特に「確定申告」について解説します。
なぜ確定申告が必要なのか? – 副業と税金の基本
会社員として給与をもらっている場合、税金の手続きは会社が年末調整で行ってくれるため、あまり意識したことがないかもしれません。
しかし、Brainでの販売のような副業で得た収入は、自分で税額を計算し、国に申告・納税する必要があります。
この手続きが「確定申告」です。
「収入」と「所得」の違い
まず、基本的な言葉の定義を理解しましょう。
「収入」とは、Brainで売り上げた金額そのもの、つまりお客様から得たお金の総額です。
一方、「所得」とは、その収入から、ビジネスを行うためにかかった「経費」を差し引いた金額を指します。
税金は、この「所得」に対して課せられます。
計算式で表すと「所得 = 収入 – 経費」となります。
この「経費」を正しく計上することが、賢く税金を納める(節税する)ための第一歩です。
会社員が確定申告すべき「20万円の壁」
会社員(給与所得者)の場合、副業での「所得」が年間で20万円を超えると、確定申告の義務が発生します。
これは非常に有名なルールなので、絶対に覚えておきましょう。
この「年間」とは、1月1日から12月31日までの期間を指します。
注意すべきは、これが「収入」ではなく「所得」である点です。
例えば、年間の売上が25万円あっても、経費が6万円かかっていれば、所得は19万円となり、確定申告の義務は発生しません(ただし、住民税の申告は別途必要です)。
逆に、所得が20万円以下でも、医療費控除を受けたい場合など、確定申告をした方が得になるケースもあります。
確定申告のキホン – いつ、何を、どうやって?
いざ確定申告が必要になった時、パニックにならないように、基本的な流れを把握しておきましょう。
最初は難しく感じるかもしれませんが、一度経験すれば、翌年からはずっと楽になります。
確定申告の期間と方法
確定申告は、所得があった年の翌年に行います。
期間は、原則として2月16日から3月15日までです。
この約1ヶ月の間に、必要書類を揃えて税務署に提出する必要があります。
提出方法は、税務署に直接持参する、郵送する、そして最もおすすめなのが、国税庁のウェブサイト「e-Tax(電子申告)」を利用する方法です。
e-Taxなら、自宅のPCから24時間いつでも申告が可能で、近年は非常に使いやすくなっています。
白色申告と青色申告、どっちを選ぶ?
確定申告には、主に「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。
「白色申告」は、事前の届出が不要で、簡易な帳簿付けで済むため、初心者にとってはハードルが低い方法です。
一方、「青色申告」は、事前に「開業届」と「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
帳簿付けも少し複雑になりますが、最大65万円の「青色申告特別控除」が受けられるなど、税制上の大きなメリットがあります。
本格的に事業として取り組んでいくのであれば、将来的には青色申告を目指すのが断然おすすめです。
賢く節税!「経費」にできるもの・できないもの
税金の額を左右する重要な要素が「経費」です。
事業に関連する支出を漏れなく経費として計上することが、手元にキャッシュを残すための鍵となります。
しかし、何でもかんでも経費にできるわけではありません。
その線引きを正しく理解しましょう。
経費として認められる支出の具体例
コンテンツ販売事業において、経費として認められる可能性が高い支出には、以下のようなものがあります。
・Brainの販売手数料
・コンテンツ作成のために購入したPCやソフトウェア代
・学習のために購入した書籍や教材、参加したセミナーの費用
・インターネット回線やスマートフォンの通信費(事業で使用した割合分)
・サーバー代やドメイン代
・外注したライターやデザイナーへの支払い
・事業に関する打ち合わせの飲食代
自宅で作業している場合、家賃や光熱費の一部を事業割合に応じて経費にする「家事按分」という考え方もあります。
経費にできない支出と領収書の保管
一方で、事業に直接関係のない支出は経費にできません。
例えば、家族や友人とのプライベートな食事代、事業と関係なく着用するスーツや衣服代、個人の健康のためのジム代などは対象外です。
この判断の基本は「その支出が、売上を上げるために直接必要であったか」を客観的に説明できるかどうかです。
そして、最も重要なのが、全ての経費の支出を証明する「領収書」や「レシート」、「クレジットカードの明細」などを必ず保管しておくことです。
これらは、税務調査が入った際に、あなたの申告が正しかったことを証明するための唯一の証拠となります。
日頃からきちんと整理・保管する習慣をつけましょう。
まとめ:正しい知識が、あなたの創作活動を自由にする
ここまで、コンテンツ販売における法務と税務の基礎知識について解説してきました。
専門用語も多く、少し頭が疲れてしまったかもしれません。
しかし、今日お伝えしたことは、あなたがこれから先、何年、何十年とクリエイターとして活動していく上で、必ずあなたの助けとなる知識です。
特商法表記や著作権の遵守は、あなたの信頼を守る「盾」となります。
景表法への理解は、誠実な情報発信の「道標」となります。
そして、確定申告と経費の知識は、あなたの手元に残る利益を最大化し、次の活動への投資を可能にする「武器」となります。
これらの「守りの知識」を身につけることで、あなたは余計な不安や恐怖から解放され、本当に集中すべきこと、つまり、読者のための価値あるコンテンツを創り出すという、最も創造的で楽しい活動に全力を注ぐことができるようになるのです。
このガイドが、あなたの長期的な活動の安心材料となれば、これほど嬉しいことはありません。
柊真之介
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